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8話 波に流される恋心と、触れた体温

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-01 16:34:40

 数分後、悠真がプールサイドに出ると、すでにまどかが波打ち際で大きく手を振っていた。その隣には、眩しい水着姿のひよりが立っている。紺色のワンピースタイプの水着は、彼女の華奢な体つきによく似合い、白い肌とのコントラストが目に焼き付く。特に、その胸の膨らみが、水着の生地のわずかなシワで強調され、悠真の視線を吸い寄せた。

「悠真くん、遅いよー!早くこっち来て一緒に遊ぼう!」

 ひよりが手を振る姿に、悠真の心臓が大きく跳ねた。彼女の笑顔は、プールサイドの太陽よりも眩しく、彼の目を眩ませる。その純粋な笑顔の裏に、あの日のハプニングに対する意識がどれほど隠されているのか、悠真には知る由もなかった。しかし、その無邪気さこそが、彼の心を強く惹きつけるのだった。

 悠真はゆっくりとひよりの方へと足を進めた。足裏に感じるプールのタイルのひんやりとした感触が、彼の高鳴る鼓動とは対照的だった。水の飛沫がキラキラと光る中、悠真の脳裏には、これから起こるかもしれない、甘いハプニングの予感が漠然と広がっていた。

♢波のプールと接近する距離

 波のプールは、想像以上の賑わいを見せていた。押し寄せる波に合わせて、人々が歓声を上げる。悠真たちは、まどかの提案で、一番奥の深い場所に陣取った。水深が徐々に深くなるにつれ、ひよりの足が浮き始め、彼女は時折、小さな悲鳴を上げてバランスを崩す。

「きゃっ!」

 波に揺られ、ひよりの体が悠真の方へとふわりと流れてくる。彼の腕が、再び彼女の腰を支えようと自然に伸びた。水着越しの肌の感触が、直接伝わる。ひよりの柔らかい身体が、波の揺れに合わせて悠真の体に押し付けられるたび、彼の心臓は激しいリズムを刻んだ。塩素の匂いに混じって、ひよりの甘い石鹸の香りが、より強く彼の鼻腔をくすぐる。

「大丈夫、ひより?」

 悠真は、努めて冷静な声を出しながらも、内心では激しく動揺していた。ひよりの濡れた髪が、彼の腕に触れるたび、ゾクリとした感覚が走る。彼女の体温が、水を通して伝わってくるようだった。

「う、うん……ありがとう、風間くん。波が、ちょっと大きいね……」

 ひよりは顔を赤らめながら、上目遣いに悠真を見上げた。その瞳には、不安と、そして彼への信頼が入り混じっている。その視線に、悠真の胸は締め付けられるような切なさを覚えた。水着の胸元が、波に揺られてわずかに開き、白い肌がさらに露わになる。悠真の視線は、そこに釘付けになった。

「ひよりちゃん、もっと奥行こうよ!もっと大きい波来てるって!」

 まどかの元気な声が、二人のすぐそばで響いた。まどかは既に、波の頂点に挑むかのように、大きく手を広げていた。凛音は少し離れた場所で、腕を組みながら波を観察している。千代は、小さく微笑みながら、波に身を任せていた。

 ひよりがまどかの声に応えようと、悠真の腕から離れようとする。その瞬間、より大きな波が押し寄せ、二人の体を再び密着させた。今度は、ひよりのやわらかな胸が、悠真の硬い胸板に強く押し付けられる。水着の薄い生地が、二人の肌の間で微かに摩擦を起こし、甘い痺れが悠真の全身を駆け抜けた。耳元で、ひよりの小さな吐息が聞こえる。

「きゃあ!」

 ひよりの体が再び悠真に預けられ、彼女の指先が、彼の水着の生地をぎゅっと掴んだ。その仕草に、悠真の理性の糸が、今にも切れそうになるのを感じた。

♢一緒に流される甘い時間

 波は容赦なく二人を押し流し、気づけば悠真とひよりは、まどかたちから少し離れた場所にいた。周囲の喧騒は遠のき、二人の間に漂う空気は、まるで別世界のようだった。悠真の腕の中のひよりの体は、波に揺られ、ふわふわと軽やかだ。彼の掌に吸い付くような胸の感触が、脳裏から離れない。

「風間くん……なんだか、遠くまで来ちゃったね」

 ひよりが、少し困ったように微笑んだ。その瞳は、まだ不安の色を宿している。

「あ、ああ……そうだな」

 悠真は、精一杯平静を装って答える。しかし、心臓の鼓動は、波の音よりも大きく響いているように感じられた。このまま、時間が止まってしまえばいいのに、とさえ思った。彼の視線は、ひよりの濡れた髪から、水滴が滑り落ちる白い首筋へと吸い寄せられる。

「ねぇ、風間くん……?」

 ひよりが、さらに身を寄せ、彼の耳元で囁いた。その吐息が、彼の首筋に触れ、ゾクリとした快感が背筋を駆け上がる。甘い石鹸の香りが、さらに強く彼の理性を揺さぶった。

「もしかして……私、重いかな?」

 ひよりの言葉に、悠真はハッとして顔を上げた。彼女の淡いピンク色の瞳が、不安げに彼を見つめている。その純粋な視線に、悠真の胸は締め付けられる。

「い、いや!全然、重くない」

 彼は慌てて否定した。実際、ひよりの体は想像以上に軽く、彼の腕の中ですっぽりと収まっていた。その華奢な体が、今、彼に全てを預けているという事実が、悠真の胸を熱くさせる。

 再び大きな波が押し寄せ、二人の体を深く揺らした。ひよりの体がさらに密着し、彼の股間に、彼女の柔らかい太ももが触れる。水着の生地が擦れる音が、妙に生々しく耳に響いた。悠真の体は、もう限界に近かった。このままでは、理性を保つことが難しい。

 遠くから、まどかの「ひよりー!悠真くーん!」という声が聞こえてくる。その声は、まるで幻のように遠く感じられた。悠真は、この甘く危険な時間が、永遠に続けばいいと心から願った。

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